#20 私をスペイン一人旅へと駆り立てたもの…

自由奔放すぎたスペインひとり旅|2022.01.20|

このあたりで、いったん、ここまでの旅日記の中の登場人物や当時起こったことの背景について書こうと思います。というのも、ここ数日の私の旅日記の中に突如現れた、Donという人物は、一体誰なんだ?と思っている方も少なからずいるのではないかと想像しているからです。

私が高校から大学までスペイン語を学んでいたということ、そして、芸術をこよなく愛しているということについてはすでにプロローグの中でさらっと触れていますので、まだ読んでいないという方は、ご興味があればぜひこちらの記事もサクッと読んでみていただければと思います。

そもそも私がスペインを一人きりでじっくり旅して周りたいと考えるようになったきっかけ、さらに、そのスペインへの旅の行程のうち数週間をカナリア諸島で過ごすという計画を盛り込むことにした最大の理由には、大学時代のさまざまな経験と、ある教授との出会いがありました。

映画ゼミと卒業論文

大学時代、私は卒論のテーマ、いわゆるゼミを【映画に関する研究】にしました。それも、ただの映画ゼミではなく、わざわざスペイン語学科の教授のゼミを選択したのです。

そもそも映画が大好きで、さらに大学一年からずっと第三言語でスペイン語を選択していたので、そのスペイン人の教授ともとても仲が良くなり、その教授がスペイン語学科の学生を対象に映画研究ゼミを持っていると聞き、出席してみることにしたのです。案の定、ゼミのクラスにはスペイン語学科の学生と英米語学科の学生とが入り混じっていました。

ところが…

当初、教授は、それぞれの学科の学生達のために、講義をスペイン語と英語の両方で行ってくれていたのですが、三人だけいたスペイン語学科の女の子たちはそもそも映画にはそんなに熱くもなかったらしく、映画ゼミの内容があまりにも濃厚すぎて、たった数回の講義でいなくなってしまいました。

その後、講義の言語は英語(と日本語少々)となり、さらに、どんどん深くなっていく沼のような講義内容に、他の英米語学科の学生達も、一人また一人とフェイドアウトしていきました。最終的に残った数人のメンバーは、いったん映画を語り始めると話が尽きないという、私にとっては最高のゼミ仲間たちとなりました。

スペイン人の教授による、少人数の映画研究ゼミということで、講義のテーマは想像以上に哲学的かつ芸術性に富んでおり、私はゼミの講義の時間に自ら教鞭をとる機会まで与えられた事もありました。時間はたっぷりと与えられていたにも関わらず最終的にはギリギリになってからやっと書き上げた卒論は、なかなか面白いじゃないかと意外にも高く評価され、教授のはからいで大学内の教授らの研究論文をまとめた紀要?のようなものに掲載されることになったほどでした。

大学時代とスペインの大切な繋がり

今思い返してみても、大学で出会った教授たちは皆とても個性的な方々で、私はよく大好きな教授の研究室のドアをノックしては、時には何時間も、時間が許す限り雑談していました。私の大学時代は、そういった学生と教授とが研究室で熱心に語り合うような日々があった時代の終わりの方の世代だったような気がします。

このご時世、教授の研究室を訪ねては、一対一で延々とあれこれ雑談から深い話まで色々な話をするというようなことは、もう全ての大学で見られる光景ではなくなったのではないでしょうか?まあ、これはあくまでも私の想像ですが。

というわけで、スペイン語のクラスや映画ゼミといった講義の時間以外でも、個人的に深い親交があったその教授とは、卒業後もたまに連絡を取り合っていました。

私が大学を卒業してから数年後、もともと世界の国々を数年ごとに移動しながら教鞭をとっていたスペイン人の彼女は、世界中を旅して働いてきた末に、夫婦でカナリア諸島に移住するという決断をし、日本を後にしました。その後、私はスペインへ長い旅に出たいというかねてからの夢を実現することにしたので、事前に彼女に連絡をとり、その一人旅のうちの数週間を、カナリア諸島にある彼女とご主人が住むアパートメントに滞在させてもらい面倒を見てもらう、ということになりました。

ところが…!!

と、この続きは、また次回のブログで。。。