実は、この長いスペイン一人旅の直前に、私は弾丸で韓国に飛んでいました。
私には、アメリカの大学への留学中に出会った、今でも私にとってとても大切な存在である韓国人の友人がいます。彼女はアメリカの大学院でロシア文学を研究し、現在もアメリカに住んでいます。ちょうど2008年に母国である韓国で結婚式を挙げることになり、式に招待された私は9月27日から9月29日の週末のみ、韓国を訪れたのでした。
そのあっという間の韓国旅行から戻った日の翌日、私はスペインへと旅立ちました。
久しぶりに大切な友人と再会することができ、とても幸せな時間を過ごせた週末の余韻に浸りながら、私は日本を出発したアエロフロート航空の飛行機の中で、ジャーナルに彼女に宛てた日記を書きました。
2008.09.30
In Flight AEROFLOT…(以下、日本語訳)
”親愛なる友へ
あなたの旦那さんのお父さまがレセプションパーティーの席であなたに、「君は実にさまざまな国を旅して、いろいろな所に住んできた。そんな君がホームだと最も感じられる場所はどこなんだい?」と尋ねた時、あなたは迷いもなく、「ロシアです。」と答えたよね。
その気持ちが、私にもなんかわかる気がするの。まだ私はロシア語を話したり、読んだり、書いたりできないけれど、でも、はじめてタルコフスキー監督の映画に触れたとき、チェブラーシカのおはなしを観たときに、もうこれまでとこれからの人生は同じじゃないってわかったの。特にタルコフスキーの映画に出会えたことは必然だったんだと確信を持って言える。
以前は、ロシア語が話されているのを耳にする度に、ロシア語ってなんか音が不思議で変だなって思ってた。過去に、モスクワの空港で乗り継ぎの為に10時間以上ターミナル内で缶詰めになったときには、空港職員は誰ひとり笑顔で話をしてくれないし、ユーロ紙幣も空港内で使えないと言われて(USドルとロシアの通貨のみ使えるだけだった)何もできなかったし、とても残念で退屈に思えた。でも、当時はまだタルコフスキーの作品には出会っていなかった…
今は、ロシア語の音はとても詩的で、哲学的で、魅力的だと思う!”